



奈良 雅美 著
金木犀舎
ーーーーーーーーーー
借金、浮気、DV。
日本人夫や家族に振り回される日々。
だけどサンパギータは情が深いから、まるごと受け止めて人生を切り拓いてゆく。神戸で暮らすフィリピン女性5人が語った、それぞれのリアルな生きざま。
サンパギータとは、フィリピンの国花であるジャスミンのこと。
本書では日本・神戸の地でしなやかに生きるフィリピン女性たちのことをこの花の名で呼んでいます。
日本人夫の借金、浮気、DV。日本社会の差別や偏見。
フィリピン家族の貧困、フィリピン家族から期待される仕送り問題など、5人それぞれが苦難を抱えながら、もがき、乗り越えていきます。
女性とは、家族とは、差別や偏見とは、そして希望とは。
時間をかけて自らの人生に折り合いをつけ、日本で働き、居場所をみつけたサンパギータたちの視点や考え方は、同じ境遇のフィリピン女性にはもちろんのことながら、日本人であるわたしたちにも新たな女性の生き方を示してくれます。
————
2021年よりウェブサイトにて連載していた「サンパギータ 日本のフィリピン女性たち」を改題し書籍化。
言語的な問題もあり、なかなか表立って発表されることのない在日外国人の生の声。なかでも数十年にわたり日本で暮らしているフィリピン女性たちの貴重な声を神戸でアジア女性の支援活動をおこなっている著者がていねいに聞き取り、文章に残しました。
●著者プロフィール
奈良 雅美(なら・まさみ)
特定非営利活動法人アジア女性自立プロジェクト代表理事。関西学院大学非常勤講師。ときどきジャズシンガー。
小学生のころから「女の子/男の子らしさ」の社会的規範に違和感があり、先生や周りの大人に反発してきた。10代半ばのころ、男女雇用機会均等法が成立するなど、女性の人権問題について社会的に議論されるようになっていたが、自身としてはフェミニズムやジェンダー問題については敢えて顔を背けていた。高校時代に国際協力に関心をもち国際関係論の勉強を始め、神戸大学大学院で、環境、文化、人権の問題に取り組む中で、再びジェンダーについて考えるようになった。
大学院修了後、2004年より特定非営利活動法人アジア女性自立プロジェクトの活動に参加。途上国の女性の就業支援、日本国内の外国人女性支援などに取り組む中で、日本に住むフィリピン女性たちに出会う。社会一般の彼女たちに対する一様なイメージと違い、日々の生活の中で悩んだり喜んだりと、それぞれ多様な「ライフ」を生きていると感じ、彼女たちの語りを聴き、残したいと思うようになる。移住女性や途上国の女性の人権の問題について、より多くの人に知ってほしいと考え、現在、ジェンダー問題、外国人や女性の人権などをテーマに各地で講演も行っている。
ーーーーーーーーーー
2025年1月17日・四六判・並製・200ページ