
ある協会
ヴァージニア・ウルフ 著
片山亜紀 訳
定価 1000円+税
判型 四六判・並製
頁数 48ページ
装幀 鈴木千佳子
発売 2019年11月27日
ISBN 978-4-909910-03-5
短篇読み切りの小冊子シリーズ第一弾! ヴァージニア・ウルフがまだデビューしたての頃に発表した知られざる傑作を、初邦訳でお届けします。
若い女性たちがいつものようにサロンに集っていたある日、ふと疑問を抱きます。ねえ、男の人たちって本当に私たちより優れているの? 私たちって本当に男性よりも劣っているの? と。そこで彼女たちは「協会」を結成、文学界、法曹界などなどの男性社会に潜り込んで、5年後に報告し合うことになり……という、血湧き肉躍るフェミニスト冒険譚。エッセイほどには「ストレートな」フェミニズム小説が案外無い、ように思われていたウルフのイメージが変わります。片山亜紀さんによる名訳にくわえ、充実の解説も付いています。
ちなみに、本作を男性評論家に酷評されたウルフは、このような直接的な手法でフェミニズム小説を書くことはありませんでした。以降の文学的な評価は、皆さんご存じの通り。そういった意味でもとてもレアで、熱い思いの込められたウルフ作品です。
【著者】
ヴァージニア・ウルフ Virginia Woolf
1882年ロンドン生まれ。1915年に小説『船出』でデビューし、その後『昼と夜』『ジェイコブの部屋』『ダロウェイ夫人』『灯台へ』『オーランドー』『波』『歳月』『幕間』と書き継ぐ。エッセイ『自分ひとりの部屋』『三ギニー』でも知られる。著作のほとんどは、夫とともに設立したホガース・プレス社から刊行された。生涯にわたり心の病に苦しみ、41年に自殺。
【訳者】
片山亜紀(かたやま・あき)
獨協大学外国語学部教員。イースト・アングリア大学大学院修了、博士(英文学)。イギリス小説、ジェンダー研究専攻。論文に「ヴァージニア・ウルフの視覚的ポリティクス」(柿田秀樹、若森栄樹編『〈見える〉を問い直す』所収)など。